散る花を 惜しみとめても 君なくは 誰にか見せむ 宿の桜を 堤中納言物語より引用(作者未詳)

 (散る桜の花を惜しんでも、君がいないのなら我が家の桜を誰に見せればいいのか)

 

しひてゆく 人をとどめむ 桜花 いづれを道と まどふまで散れ 読み人知らず

 (去ってゆくあの人を引き留めたいんだ。桜よ、道が分からなくなる程に散ってくれ)

 

いかにせむ 思ひなぐさむ かたぞなき あらまし事も かぎりにこそあれ 平経正

 (どうすればいいのか、慰める術がない。「こうなったらいい」などという思いにも限りがあるのだ)

 

磯の上に 生ふる馬酔木を 手折らめど 見すべき君が 在り言はなくに 大伯皇女

 (磯の上に咲いている馬酔木を手折ったけど、見せたい君がいるとは誰も言ってくれない)

 

春たてば 消ゆる氷の 残りなく 君が心は われにとけなむ 読み人知らず

 (春になって消える氷のように、私に打ち解けて欲しい)

 

我を思ふ 人を思はぬ むくひにや 我が思ふ人の 我を思はぬ 読み人知らず

 (私を思ってくれる人を思ってやらない報いだろうか、私が思う人は私を思ってくれない)

 

秋の夜の 月の光は きよけれど 人の心の 隈は照らさず 読み人知らず

 (秋夜の月光は濁りなく綺麗なのに、あの人の心の影までは照らしてくれない)

 

二人行けど 行き過ぎ難き 秋山を いかにか君が 独り越ゆらむ 大津皇子

 (2人で行っても越えるのが難しい秋山を どのようにして君は今1人で越えようとしているの)

 

出でて行く 道知らませば あらかじめ 妹を留めむ 塞も置かれまし 大伴家持

 (世を去る道を知っていたら、あらかじめあの子を留める障害も置けたのに)

 

なかなかは 黙もあらましを 何すとか 相見そめけむ 遂げざらまくに 大伴家持

 (むしろ黙っている方がよかった。どうして2人は会い始めたのかな。この恋は遂げることも出来ないのに)

 

世の中は 空しきものと 知る時し いよよますます 悲しかりけり 大伴旅人

 (世の中は空しいものと知った時こそ、いよいよますます悲しかったことだ)

 

 

※訳は揺河が書いたもので、あくまでも目安です。

お使いになる際は、訳のみでも原文のみでも両方でも構いません。

ご自由にお使い下さい。

 

 

 

 

 

 

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